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百年前の今日 1922年5月23日 井上正子日記

1922年(大正11)5月23日


五月廿三日 火曜日 晴 起床六時 就眠十時

今日は展覧会を一般の方に見せるのであつた。

私も此の間からゆつくり見たかつたので今日詳しく見た。

生徒学業品の他に余興のつくり物があつたのは珍しかつた。

一年生の藤柵の下に画に書いた池に鯉は可愛いかつた。

三年生の成績品陳列の窓かざりは素敵だつた。三年の造物も非常によかつた。あのローレライの乙女の顔なんかとても三年ではと思はれる程上手に出来てゐたのであつた。国文科のは如何にもそれとうなづける程、優雅な文学趣味から、烏帽子、花扇をあしらつて桜のはなびらの散るのはたまらなく好ましかつた。高等科二年はアーサー王物語の一節の神秘な池から手の出る場面である。一年は青い鳥で可愛いのだつた。

五年生のは return to Nature で余程いゝ題を取つてあつた。蓄音器なんか入れて中々の工夫であつた。

四年生は専攻科とよく似たので、大波のうねりや何かで気どつてあつた。

二年生は非常に明るい感じのする平和塔とか題するのであつた。

どれもこれも皆努力の美しい賜物であるだけ私等は心持ちよく見たのであつた。




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