
GO VOTE! I VOTE FOR SURE!
- 井上 迅
- 2月7日
- 読了時間: 3分

旅から無事に帰ってきたのだが風邪をひいてしまった。早く日常に戻ろうと、まだ旅モードの身体に急ブレーキをかけたのがいけなかった。喉の微かな痛みから咳が出るまで、一晩とかからなかった。昨夜から床に臥している。
かかりつけの漢方医の先生のところで処方をしてもらった。先生は、簡単な問診のあと、手首にそっと指を当て、耳を澄ませるように心身の様子を脈(音? 振動? 気配? 動静? 先生に尋ねても当てはまる言葉が出てこない)から窺い、その人の症状にあった処方をしてくださるので、家族の誰かが具合が悪いといつも先生のところへ駆けつける。

昨日は、わたしが相当疲れた様子をしていたのだろう、心配そうに「どうされました」と尋ねられた。いつもならひと通りの問診で脈診に入るのだが、ネパール-インドと旅してきたことを話さざるを得ないので、旅の間の体調について、毎日香辛料の効いた食事だったので食あたりした話などした。おそらく旅の間、わたしは五感を開ききって過ごしていた。いつもより睡眠時間も短かったし、毎日よく歩き、スケッチもし、日記や手紙も書いた。食あたりしていても、一晩寝りゃ治るといった気の張りがあった(じっさいそうだった)。先生が衛生環境が悪いところだからとおっしゃったので、それは重々承知で生水は飲まないなど気をつけてはいたが、腹を下したとき、これで現地の体質に順応できたのではと感じていた。確かに身体の何十パーセントは旅先で食べた物で細胞が組成されたかもしれないが、たかだか二週間で体質がガラリと変わるわけはないだろう。わたしはネパール-インドの街がいかに活気があって、どこに立っていても人の話し声が、エンジンと絶え間のないクラクションの騒音の中から聞こえてきたことを話し、日本に帰ってきて街があまりに静かで、本当にこの週末は選挙が行われる国だろうかと異様な気がしたと話した。

先生は、そのことを陰陽に喩えて、そうやって街に活気がある、人の営みに満ちているのは〝陽〟がまさっていて、その中を旅してきた人が、人気のない〝陰〟のまさった場所へ急に戻ってきたら体調も崩すでしょうとおしゃった。そうか、わたしは〝陽〟がまさった場所に必死でチューニングを合わせようとしていた。お腹を壊したのもチューニングの一環だったのかもしれない。それが〝陰〟のまさった場所へ来たものだから、せっかく合わせたチューニングも御破算となってしまった。心身の受信機の針が振り切れてしまって体調を崩したのだと妙に納得ができた。しかし〝陽〟のまさったところの対極には、同じだけの〝陰〟があるはずだ。インドでは、その〝陰〟の塊に、いまだ歴然とカーストの桎梏が世間を覆っている。ブッダガヤで出会った綱渡りの少女は、わたしがカメラを向けると〝笑み〟というにはほど遠いこわばった表情で投げキッスの仕草をした。心にソゲが刺さって疼くような投げキッスだった。思えばそれがわたしに〝陰〟の在処を指し示していた。綱の脇に立った母親(?)に50ルピーも奮発したが、あれは陰と陽を上べで切り結ぶ通貨だったのかもしれない。では〝陰〟のまさった場所における、対極にあるはずの〝陽〟はどこにあるのか。どこかに封印されてしまって出てこられないのか。あるいはそのエネルギーを溜めこんで巨悪に利用しようと目論んでいるのか。このたびの選挙は、政治が陰と陽の営みをねじ伏せて(今に始まったことではないが)、ますます通気の悪い世の中を生み出してしまうように思える。
陰と陽の通気を良くすることを考える真っ当な政治を取り戻すためにも選挙に行こう。
GO VOTE!!!
I Vote for Sure!!!





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