1922年(大正11)7月21日
七月廿一日 金曜日 晴 起床五時半 就眠十一時
朝早く伯母様と悦ちゃんは、大谷から清水へ朝詣でに行かれた。
朝御飯、召し上がっていらっしゃらないのに随分お待ちしても帰っていらっしゃらない。お上りさん、道を迷ってらっしゃるのではないかしら、と案じている中に、ようやく帰っていらっしった。
〝まあどうなさいましたの〟っておたずねすると、〝こんなに買物して来ましたの〟って出されるのを見ると、あらあら清水焼の茶椀やら、土瓶やら人形やら、衿やら紐やらお玩具やら、はては荒物まで何の事はない、デパートメントストーアが出来る様。私等は〝まあまあ〟って言ってるばかりだった。〝朝早くからどっさりのお買物ですね〟って笑ってるばかりだった。
夜夕方から大津の方へ行く。ひびきわたる三井の晩鐘に心ゆくまでひたりきき、美しい湖の夕の景色は私の心を深く深く感じさすのであった。
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