百年前の今日 1922年7月16日(日)

はかない定めよ。うつし世は……


1922年(大正11)7月16日

七月十六日 土曜日 晴 起床六時 就眠十一時

夜父上と日暮しに行く。病中とはひきかえ、しめやかな中にもざわざわとしていた。

仏間にはゆるやかな蠟燭の光の中に、小さい寝棺は静かに静かにすべてのものの心をめいらす様に横 はっている。

小姉さまにひつぎのわきで従弟の顔を見せてもらう。

ろう[蠟]の様に美うるわはしい顔。かすかな微笑を浮かべる純な顔。私は思わず手を合わせた。数珠の上にあついあつい涙が落ちた。

はかない定めよ。うつし世は……

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1922年(大正11)8月28日 八月廿八日 月曜日 晴 起床五時 就眠十時 朝食後、直に大谷大谷[東山の大谷祖廟/図地 g-3]へ参詣に行く。黒味を帯びたる緑の松の木の間からかすかに美しい朝の日の光はさしこんでいる。 石の敷石は掃き清められているのが遠く連なっている。 二、三の人影が見える。私の歩む下駄のひびきがはっきり分かる。 静かな朝の気分にうっとりとひたりながら何にも考えないで足を運ばせる